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元来の恥ずかしがりを克服するために、童貞でホストになった話(後編)

前編では、元来超がつくほど恥ずかしがり屋だった僕が、大学1年時にホストを始めるまでの経緯をお伝えした。後編では、実際にホストをやってみての実体験とその感想を共有したいと思う。

実際にホストをやってみた感想

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一言で言えば、ホストで働くことは、体力的な面と金銭的な面で、ものすごくハードだ。大学など、何かとの両立はかなり難しいと言えよう。

僕が勤務していた2005年当時は、現在のホストクラブの営業システムとは違い、深夜(23時頃)にオープンし、朝(8時頃)まで営業というスタイルだった。とは言っても、スタッフの誕生日やクリスマスなど頻繁に行われるイベント時はお店が盛り上がり、昼の12時近くまで働くこともザラにあったのだが…。

勤務当初は自分のお客さんがいないので、まずは新規で自分のお客さんを獲得するためキャッチ活動を行う。今は条例で違法となっているはずだが、当時の歌舞伎町は辺り一面ホストのキャッチで溢れかえっていたのだ。

そこで、女性が歩いていたら手当たり次第声をかける。そのうち、一定の確率で「初回なら行ってみる」という人がいるので、そういう人をお店に連れていくのである。

キャッチは、お店にお客さんを呼ぶか、お店が忙しくなってスタッフから呼ばれるまで続ける。これは夏なら良いのだが、冬は寒すぎて本当にツラい。はなまるうどんや吉野家には、寒さしのぎで何度も立ち寄り、その節は大変お世話になったものである。

ちなみに、キャッチを通じて新規のお客さんをお店に呼ぶことができれば、呼んだ人はそのお客さんを15分程度接客する。その後、別のホストと交代し、15分経ったらまた別のホストと交代…それを2時間経過するまで繰り返します。2時間後、次回来店時に誰を指名するかを選択し(通称:送り指名)、連絡先を交換します。

ものすごくツラかったヘルプ要員

キャッチから戻ってきて新規のお客さん以外はヘルプ要員として接客するのだが、これは相手によってはキャッチよりもはるかに大変だ。

まず、店内は音楽のボリュームが大きく騒がしいため、大声で話さなければ聞こえない(特に、僕は滑舌が悪い)。声の出しすぎで1週間ほど声がまったく出なくなり、欠勤したこともある(医者の診断書を取得し、お店から罰金されないようにした)。

また、ブランデーのようにアルコール度数が高いお酒をひたすら飲ませたがるお客さんもいれば、担当ホスト以外とはまったく話したがらない人もいる。そもそも女性と話して接するのが得意ではない僕にとって、これはものすごくシンドかった。

お酒を飲みすぎて、大学に通学しようと電車に乗ったものの、電車で7時間も寝過ごしてしまったこともあった。カバンがちゃんと手元にあったのは奇跡的である。

なお、当日は金髪・スーツ姿で大学に登校していたので、おそらく近寄りたくない存在だと思われていたはずだ(苦笑)。夜まで大学にいて、そこから新宿まで1時間かけて通い、また朝に大学に通う日々が続き、とにかくハードだった。

売れっ子ホストの特徴

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ところで、売れるために周りの売れている先輩ホストを観察したのだが、やはり売れている人には特徴があった。

とにかくマメ

売れている先輩ホストに気に入ってもらい、週末などは新宿近くのその先輩の家に泊まらせてもらっていた。そこで驚いたのは、先輩が寝る前に、必ず毎日10人くらいのお客さんに対して、それぞれ2〜3分の電話を行っていたことだ。会話の内容は営業電話っぽくなく、「最近どうなの?」的なたわいもないものだ。この「気にかけている感」、付かず離れずのマメさが、売れるためには大事なんだなと思った次第である。

イケメンであることは、必要条件ではない

イケメンかどうかは、本質的には重要ではない。というのも、数多あるホストクラブの中には、同じようなイケメンはたくさんいるので、ただのイケメンはその中に埋もれてしまうからだ(もちろん、芸能人顔負けのイケメンは別だが)。

それよりも、他のホストに勝てる自分の強みを磨くことが重要だと思う。たとえば、ギャル受けが良い顔立ちという特徴があれば、ギャルの雑誌を読み込んで周辺知識を身につけるなど徹底的にギャル受けの良さを強化し、「ギャルに対して売れるホスト」になることが得策だ。それ以外でも、面白いことが言えないキャラであれば、下手にツマラナイことを言わずに「癒し系ホスト」としてブランディングするなど、強みの磨き方は様々である。

好きこそ物の上手なれ

僕の1日後に、福島県から上京してホストになった同期がいる。まだ入店して1週間くらいしか経っていなかった時だが、朝に営業が終わって歌舞伎町で一緒にキャッチ(営業)に出かけたある日、彼は僕に「オレにとって、ホストは天職だと思う」と言いました。

彼はいわゆるギャル男の風貌ではなく、どちらかと言うと真面目な感じで、また頭の回転が速い人だった。たしかにイケメンではあるものの、特に際立っている訳ではない。

それでも、すぐに指名本数を増やし、売れるホストになっていったのだ。彼はその後もホストを続け、今では歌舞伎町の有名グループ店の代表として活躍している。

ホストで働いた経験から得た気づき

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一方で僕といえば、7か月間も働けば、少しは女性への免疫ができてきて、それなりに会話ができるようになったが、「売れる」とはほど遠い状況だった。その後は、あるベンチャー企業で長期インターンシップを行うことにし、結局ホストは辞めることにしたのだが、振り返ってみると、ホストの経験を通じて学んだことはたくさんあった。

体験、1次情報をもとに判断する

ホストを経験する前は、「ホスト業界=怖い、悪」というイメージが少なからずあったが、実際に経験してみると、少なくとも僕が働いたお店はとてもクリーンであり、また働いている人は極めて真っ当な人だった。

このように、様々なメディアで語られる「イメージ」と事実は異なっている場合がある。自分自身で体験し、情報を解釈し判断することで、自分自身が納得する解に近づくのではないかと思っている。できるだけ偏見は避けたいものである。

環境を変えることで、自分が変わる

もともと恥ずかしがりという性格を克服するためにホストを始めたが、ホストを辞めようと思った頃には、だいぶ自分自身のマインドが変わっているように思えた。

有名な言葉ではあるが、「人間が変わるための3つの方法」として、大前研一さんが以下のように述べている。

人間が変わる方法は3つしかない。1つ目は時間配分を変えること。2つ目は住む場所を変えること。3つ目は付き合う人を変えること。どれかひとつだけ選ぶとしたら、時間配分を変えることが最も効果的。最も無意味なのは『決意を新たにする』ことだ。

恥ずかしがりという性格を治したいと思ったとき、「よし、明日から恥ずかしがりを治そう!」と決意して治るものではない。やはり自分を取り巻く環境を意図的に変えて、自分も変化することが有効だと実感している(荒療治ではあるが…)。

売れる人には理由がある

ホストで売れている人には、明確に理由がある。とにかくノリが良い、キャッチがすごく上手い、ものすごくイケメンなど特徴は様々だが、売れている人は、意識的・無意識的に、それぞれ自分の特徴=武器を研ぎ澄ましているように思う。

そういう意味では、結局僕はホスト修行中もずっと童貞だったので、今思えば童貞キャラを前面に押し出したら少しはエッジが立ったのではないかと、多少後悔している…。

ホストのよもやま話

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まったく売れなかったダメホスト時代の僕

 

終わりに、ホストをやってみて面白かったトピックをいくつか書いてみたい。

  • 学生ホストは少なからずいる

当時は、歯科系大学や東京大学(しかも医学部!)を始め、私立文系でもホストをやっている人はいた。ほとんどの人が3か月以内に辞めてしまうが、しっかり売れている人もいた。

  • アフターのカラオケに付き合って1万円GET

先輩ホストとそのお客さんのアフターに付き合った時のことだ。こんな世界もあるのかと思ったものだ。

  • ヘアスタイルが命

キャバクラと違い、ホストのヘアスタイリングは、基本的に自分で行う。髪型は非常に力を入れるべきポイントで、シャワー →ドライヤー → ヘアアイロン → ワックス → スプレー固めという流れで、1時間かけてスタイリングする人もザラにいた。そして、上手くいかなかったらまたシャワーを浴びてやり直しする人も。スタイリングは大事なのである。

  •  お店の客層は様々

僕が働いていたお店は比較的若めの女性が大半だった。お客さんの職業を聞くことはタブー(業界用語で「爆弾」と言い、罰金300万円という重い罰則があった)であり、分からない人も多くいましたが、大まかには、お水系が半数で、残りはOL、モデル・芸能人の卵、学生、社長夫人・社長令嬢といった客層だった。

結論

10年以上経った今、改めて振り返ってみると、自分にとってこれ以上ないほど辛かった当時の経験だが、今となってはほろ苦い、良い思い出だ。男性が女性をホストに連れて行くパターンもあるようなので、男性の皆様も一度ホストを経験してみるのも悪くないかもしれない(初回は安いため)。

 

最近気になっている、中毒性のある動画がこちら。ROLANDさんからは強いプロ意識を感じる。