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元ヘッドハンターが教える、ヘッドハンティングによる転職でキャリアアップする方法【追記あり】

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ヘッドハンティングという言葉を聞いて、自分には関係のない、ごく一部の特殊な事例だと思っていたりしないだろうか?

実は、ヘッドハンティングは海外だけでなく日本でも普及しており、いわゆるシニアエグゼクティブ層だけでなく、20〜30代の比較的若手の方も対象となっている。

本エントリーでは、そもそもヘッドハンティングとは何かヘッドハンティングが一般化した背景や、ヘッドハンティングされるための準備、そして気をつけるべきことをお伝えしたい。 

ヘッドハンティングによる転職は、もはや一般的

欧米では、ヘッドハンティングは新規事業立ち上げや事業拡大にあたり、専門の知見を持つ他社のキーパーソンをヘッドハンティングして採用することは日常茶飯事だ。

例をあげればキリがないが、Googleの製品担当vice presidentから米yahoo!のCEOに就任したマリッサ・メイヤー女史は有名だ。

他にも、Appleが自動運転自動車の開発を進めるTeslaの幹部をヘッドハンティングしたり、SamsungがSonyやPanasonicなど国内大手電機メーカーの技術職を大量にヘッドハンティングしていたこともある。

また、これら大企業だけでなく、UberやSnapchatなど今をときめくメガベンチャー企業も、ヘッドハンティングを通じた人材獲得に必死だ。優秀な人材が、組織の競争力の源泉であることを理解しているからである。

 

ヘッドハンティングが海外だけの話であるかと言うと、そうではない。

サントリーの社長に就任した元ローソン社長の新浪剛史氏や、元コカコーラジャパン社長で現資生堂社長の魚谷雅彦氏は大きな注目を集めた。

こういった、いわゆる「プロ経営者」の移籍においては、経営者同士の繋がりによって、直接ヘッドハンティングするケースが多いと言えるだろう。直近では、DMM.comの社長に、ピクシブの創業者の片桐孝憲氏が就任したことがIT業界では話題になったのは、記憶に新しい。

しかし、ヘッドハンティングでの採用は、上記のように世間を騒がすような案件ばかりではない。実は、近年、日本でもヘッドハンティングは急速に普及しており、ごく一般的なものになっているのだ。

 

ヘッドハンティングとは

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ヘッドハンティングとは、数ある人材採用の手法の1つだ。ヘッドハンターと呼ばれる存在が仲介する場合もあれば、採用企業の担当者(主に社長など経営層)が候補者を直接スカウトする場合もある。

具体的には、

・様々な手法を駆使して、自社の人材採用要件に合致する候補者の情報を収集し(情報収集)

・候補者の転職意欲の意思に関わらずコンタクトを取り(スカウト)

・面談を通じて選定・動機付けを行い(選定)

・円滑に退職してもらった上で入社を迎える(採用)

というものが、ヘッドハンティングの大まかなプロセスだ。 

 

ヘッドハンターを活用したヘッドハンティングでの採用の手法には、2つのパターンがある。それぞれ、指名型スカウトと呼ばれる手法と、ロングリスト型と呼ばれる手法でだ。

指名型スカウトは、採用企業側はヘッドハンティングしたい候補者を特定しているものの、その候補者が所属する企業と自社の関係が近しい、もしくはド競合の場合であるため、直接スカウトしてしまうと「角が立つ」場合に主に用いられる。

一方で、ロングリスト型は、採用企業が、理想的が「どの組織に所属している誰なのか」、バイネームで候補者を特定できていない際に使われる。バイネームでは分からないので、採用要件に合致しそうな人材を、様々な情報をもとに洗い出し、面談を通じて候補者を絞り込んでいき(=ショートリスト)、クライアント企業との引き合わせを通じて、最終的に採用に結びつけるのだ。 

 

メジャーなヘッドハンティングファーム(サーチファーム)

海外では、ヘッドハンティングを主な事業として取り組む組織を一般的にサーチファームと呼び、特に経営層に特化したサーチファームを、エグゼクティブサーチファームと呼びます。世界では、五大サーチファームと呼ばれる、業界では著名な会社がある。

  • コーンフェリー・インターナショナル
  • ハイドリック・アンド・ストラグルズ
  • スペンサースチュアート
  • ラッセル・レイノルズ・アソシエイツ
  • エゴンゼンダーインターナショナル

こういったサーチファームで働く社員は、戦略コンサルティングファームや投資銀行出身者や一流MBA取得者は当たり前で、特定の業界内で幅広いネットワークを有する人で構成されている。

ちなみに、アメリカでは「身近に持つべき友人は、医師・弁護士・ヘッドハンター」と言われているくらい、ヘッドハンターは一般的であり、また社会的位置の高い存在なのだ。ヘッドハンターと聞くと、怪しいイメージがあるかもしれないが、少なくともアメリカではそうではないようだ。 

なお、海外では、いわゆる転職エージェントはstaff recruiting、そしてヘッドハンターはexective searchと呼ばれ、両者はもう全く別の職種と言わんばかりに明確に棲み分けがされている。

以前、僕が海外の著名なヘッドハンターが集まる会合に招かれた際、挨拶が代わりに「Do you engage in staff recruiting or excective search?」と聞かれたことをよく覚えている。

 

日本でヘッドハンティングが一般化した背景

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近年、日本でもヘッドハンティングによる採用が一般化しつつあるが、その背景には、以下の3つのポイントがあると考えている。

  1. 終身雇用の崩壊
  2. 転職サービスの普及
  3. インターネット、特にSNSの普及

90年代までは日本の雇用体制として主流だった終身雇用が実質的に崩壊し、今では大企業でも、50代前半になれば「肩たたき」が始まる時代になっている。

また、ベンチャー企業はもちろん、大企業でさえ、自社がいつまで存続するか誰にも予想がつかない。外資系企業に買収されて、直後にリストラされることだってあるだ。

そうすると、1社にしがみつき、新卒で就職すれば一生安泰などということはもはや非現実的であろう。そこで、ビジネスパーソンにとって転職という選択肢が珍しいものではなくなり、それに伴い、転職を支援する転職エージェント業界が2000年前後から急拡大してきたのだ。 

原則として、転職するためには、成果を出して活躍しなければならない。活躍している人は、雑誌や講演など、様々なメディアを通じて、業界内でその名が知られるようになる。これに拍車をかけたのがインターネットだ。インターネットによって、気軽に情報を発信し、また収集できるようになり、触れることのできる情報量が爆発的に増えた。

すなわち、活躍しているターゲット人材のサーチを容易にし、コンタクトが取りやすくなったとも言えよう。

また、SNSの普及も見逃せない変化だ。TwitterやFacebook(海外ではLinkedIn)などを通じた候補者の情報収集は、もはや人材採用において常識となっている。直近では、newspicksを介したアプローチも増えているようだ。

こういった背景のもと、日本でもヘッドハンティングが一般化していったと思われる。 

 

ヘッドハンティングされるには?ヘッドハンターが行うヘッドハンティングのやり方

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それでは、ヘッドハンターはどのようにして候補者を探し、アプローチしているのか、具体的にお伝えしたい。

ヘッドハンターのサーチ手法(情報収集)

クライアント企業がターゲット候補者を特定していれば、候補者を探す手間は省けるが、一方でターゲット候補者が特定できておらず、採用要件のみクライアント企業から伝えられている場合に、ヘッドハンターはどのような手法で候補者を探すのだろうか?

すなわち、どうやってロングリストを作るか、ということだ。

まず前提として、ヘッドハンターは実績を残し活躍しているビジネスパーソンを探し求めている。実績がなければ数多いるビジネスパーソンの中に埋もれてしまうし、そんな人にアプローチするほどヘッドハンターは暇ではない。

候補者が生んだ実績が価値あるものであればあるほど、その実績は「必ず」社内外に知られることとなる。Webメディアや雑誌が報じたり、また講演・パネルディスカッション、あるいは展示会などを通じて知られることもあれば、業界内で人脈が豊富な人物から人づてでその候補者の活躍が伝わることもある。

論文(レポート)や書籍も、活躍を示すエビデンスとして分かりやすいだろう。まとめると、ロングリストを作成するためのリソースには、以下のようなものが挙げられる。 

  • 業界毎のキーパーソンとのアライアンスによる人の紹介、推薦
  • 講演、ビジネス雑誌の寄稿、学術論文執筆
  • 技術ブログやGitHub(エンジニア)
  • FacebookやLinkedIn、twitterなどのSNS
  • リスト業者(コンサルティングファームのプロモーションリストなど)
  • ビズリーチやキャリアカーバーなどのハイクラス向けの転職サイト

このように、ヘッドハンターはweb・リアルを問わず、日々地道な情報収集を行っているのだ。

逆にヘッドハンティングされる側からすると、「実績をつくる」だけでなく、その実績がヘッドハンターやクライアント企業の経営者の目に留まりやすいように「表明する」ことが大事だ。

 

僕自身のヘッドハンティングの体験談(一例)

僕の経験では、ソーシャルゲームに関する独自の鋭い考察を、自身のブログに書き連ねている人に対して、ブログの問い合わせ欄からアプローチしたことがある。

コミュニケーションをとる中で、その方は企業の経営者から直接オファーがあったようで、結果的にそちらに転職されてしまったが、経営者も考えることは同じなのだ。

たまたまその方は匿名だったが、匿名か実名かはあまり関係なく、あくまでもブログの記事という実績が評価された事例だ。

現在は、簡単に情報の発信側に回ることができる。BlogやLinkedIn、エンジニアであればGitHubは、その代表的なツールだ。思わぬオポチュニティに出合えるかもしれませんので、ぜひ積極的に情報を発信されることをオススメしたい。 

 

ヘッドハンターのアプローチ手法(スカウト)

様々なリソースを駆使してロングリストを作成した後は、その候補者らにアプローチを行い、面談に結びつけていく。主なアプローチの手段は、以下のとおりだ。 

  • 候補者が所属するオフィスへの手紙
  • 候補者が所属するオフィスへの電話、もしくはメール
  • 転職サイトやSNSからスカウトメール
  • オフィス入り口付近での出待ち 苦笑

もっとも返信率が高く一般的な手法は、手紙の送付だ。これは、営業職の新規開拓と同じだと考えれば、納得がいくかと思う。突然、電話やメールが送られるよりも、和紙に書かれた直筆の手紙の方が、気持ちがこもっていると思うのではないだろうか?

僕にもヘッドハンティングの電話がたまに来ますが、あれははっきり言って迷惑だ…(しかも、そういう場合に限って、見当違いなオファーがくる)。 

 

ヘッドハンティングのアプローチを受けたら注意すべき3つのポイント

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ヘッドハンターからアプローチがあった場合、よほど忙しい状況でなければ、話だけでも聞いてみることをオススメする。話を聞くだけならタダだし、ランチをご馳走してくれることもある。

ただ、その場合は以下の点に注意して話を聞くようにしたい。

  • 「自称ヘッドハンター」ではないか?
  • クライアント企業からのバイネームでの依頼なのか?
  • そのクライアント企業の概要、ポジションは?

自称ヘッドハンターの見分け方は簡単だ。開口一番に、そのヘッドハンターに対して「私のことをどこまで知っていますか?」と尋ねてみて欲しい。本物のヘッドハンターであれば、あなたの職務経験やコアバリューについて、良く知っているはずだ。一方で、「自称ヘッドハンター」は、どこかで仕入れたあなたの名前(苗字)と連絡先しか知らない場合もある。 

信頼できるヘッドハンターだと分かれば、今回コンタクトがあった背景について、しっかり確認しよう。

特定のクライアント企業からの指名によるスカウトなのか、それともロングリストに載っていて絞られる過程なのか。守秘義務の関係で、初回の面談では企業名は明かされないことが一般的だが、想定企業やポジションの概要については、きっと教えてくれることだろう。

興味があるようなら、ヘッドハンターにその意思を伝えて、さらに詳細を確認してみよう。

 

まとめ

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転職サイトに登録して転職活動を行っている候補者にスカウトメールを送る場合とは異なり、ヘッドハンティングではまだ転職意思のない候補者を探し、アプローチする場合が大半だ。そのため、ヘッドハンターに対して不信感があり、また気が進まないこともあるかと思うが、キャリアの選択肢は常に持っておくに越したことはない。 

タイミングが合わなくても、そのヘッドハンターを通じて、将来的により良いオポチュニティが現れることもあるのだ。

そのためにも、ぜひ現在の職務で成果を出し、積極的に情報発信することをオススメしたい。

 

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*2018年8月20日 加筆修正しました