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事業開発とキャリア開発が大好きなベンチャー起業家のブログです。

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ワークライフバランスを求める人の2つのタイプ

先日面談の機会を頂いてお会いしたキャンディデイトは、某有名戦略コンサルティングファームのコンサルタントの方(20代後半)でした。

その方も、ご多分に漏れずとても忙しくされておられ、
「今月は毎日3~4時くらいまで仕事していて、朝は8~9時くらいに出社しています(土日もほぼ仕事)。」
と、目にクマをつくりながら話されていました。

これまでに高いパフォーマンスを発揮されていますが、今後のキャリアのイメージとして、あと1~2年後には、①事業会社で戦略立案〜実行まで手がけたい、という想いと、②ワークライフバランスを改善したい とのことです。

さすがに、ここまで忙しくされている方は滅多にいらっしゃらないですが、お会いするボリュームゾーンの20代後半〜30代前半の方、つまり働き盛りの方で、最近よく伺う転職理由は、この「ワークライフバランスを改善したい」というものです。


また、あるWeb広告代理店の方(30歳前半)に、「どの程度まで改善したいのですか?」と伺うと、「残業時間は40h/月にはしたいですねぇ。」と答えられていました。

それって、毎日2hの残業、つまり20〜21時には退社するということです。正直なところ、弊社のクライアントはIT・Web系企業様が半数ほどを占めていますが、その求める人物像の多くは「バリバリ・アグレッシブに・ベンチャーマインドをもって(表現は様々です)働ける人」が含まれています。そのため、基本的にはワークライフバランスを強く希望される方には、IT・Web系の業界(特にアーリーステージの企業)はオススメできません。

しかし、Web系企業で忙しくない企業がどれほどあるでしょうか?それが非常に限られていることは、キャンディデイトが一番良くわかっています(その案件を見つけるのがエージェントの役割でもありますが)。

ここで注目すべきポイントは、ワークライフバランスを求める理由として、大きく2つあるということです。

1つめは、30代に入り、結婚などライフイベントを迎え、より中長期な視野で腰を据えて働きたいと考えているタイプ。2つめは、忙しい現状から(誤解を恐れずに言えば)逃避したいと考えているタイプ。後者は、企業のリアクションは良いとは言えません

見分けるポイントとしては、(個人差はあるものの)忙しさの度合い、仕事で発揮したパフォーマンスの大小、本当にその仕事を楽しんでいるかどうか、といった点だと思います。

ワークライフバランスがとれている企業の特徴については、別エントリで書きます。

内定辞退

この業界に携わっている方で、「辞退」という言葉が好きな人はおそらくいないでしょう。

キャンディデイトがオファーを辞退する背景は、オファー条件、自身のミッション、
会社の魅力など多岐にわたりますが、辞退するケースは、3つしかありません。


  1. ほぼ同時期にオファーが出た他社で意思決定するケース
  2. 他社の選考を続けるケース
  3. 現職に留まるケース
 
1社のエージェントのみを使っていれば、オファーが出るタイミングは
把握できているはずなので、2.のケースはあまり起こらないでしょう。
 
3.のケースは、現職で強烈に引き止められる(条件を良くするなど)場合です。
 
1.のケースは、辞退理由で最も多いのではないでしょうか。
エージェントがキャンディデイトとしっかりリレーションがとれていれば、
感覚値として予期できることが多いですが、そうでないことも稀にあります。
 
 
中堅メーカーで経理職で活躍されているKさん(34歳)は、転職活動が非常に忙しい
とのことで、まずは我々と電話でのインタビューを行うことになりました。
 
話し方としては、かなり「エッジの効いた」印象ではあるものの、
経理実務は全般をプレイングマネジャーとしてこなされている方。
 
その後、A社で、Kさんのキャリアにドンピシャの案件が発生したので
ご紹介したところ、話はスイスイと進み、2週間ほどで内定までたどり着きました。

Kさんは内定を快諾し、他社の転職活動をストップし、3週間後の入社日に
備えることに。

…ところが、入社日の前日(月末、つまりエージェントにとっての営業数字〆日)、
突然「やっぱりA社は辞退し、外資の他社にいきます。」との簡潔な文面のメールが送られてきました。

我々は、慌てて電話で確認しました。

「メールで書いた通りです。」Kさんは明らかに不快そうに答えました。

「しかし、入社予定日が明日ですし、A社も他のキャンディデイトの選考を止めて
Tさんを迎えるための準備をされているんですよ…?」

「他社は、A社よりも200万円も年収が高いんですよ!

家族もいますし、当たり前じゃないですか!忙しいので、もう電話切りますね!」
 
結局、ご迷惑をおかけしてしまったクライアントからは、
今後のお取り引きについて見直すとのご連絡を頂戴することに…。
 
 
最後に意思決定をするのは当然キャンディデイトですが、その意思決定が
最良の選択だと自信を持って判断できるように後押しするのはエージェントです。
 
そのために、キャンディデイトとのリレーション構築は欠かせません。
キャンディデイトが意思決定するに当たり、最も重視しているポイントは何か、
どんな職場環境がマッチするのか、エージェントが把握していない重要な事実はないか…。
 
これらを知るのに、電話だけではほとんど不可能だということを、改めて実感した事例でした。