sailing day - ベンチャー企業で事業開発に奮闘する井口和宏のblog -

ベンチャー企業で事業開発に奮闘する井口和宏のblogです。

経歴詐称の転職候補者にご用心

今回は、過去にお会いした、まさかの経歴詐称の候補者について、可能な範囲でお話しようと思う(一部デフォルメしている)。


過去に、Yさん(30代男性)という候補者の方と、面談の機会があった。

Yさんの経歴はピカピカで、

・地方では有名な、偏差値の高い高校出身で、
・私立大学では1、2位を争う某有名大学を卒業し、
・ネット広告代理店A社→インターネット業界では最大手のB社に転職。
・Webプロデューサーとして活躍後、退職後は知人の会社を手伝い、現在に至る。

というキャリアの方だ。

話し方も極めて自然で、コミュニケーション力がある人だな、と思う一方で、レジュメについては、ある違和感があった。

それは、具体的な実績が曖昧なのだ。

「在籍していた企業の守秘義務契約の都合上、手掛けた案件の社名・サイト名はお伝えできない」とのことで、たしかにA社の守秘義務の厳しさは同社出身の別の候補者からも伺っていたので、「まぁそうですよねー」と会話し、その場はスルーしていた。

そして、具体的な社名・案件名は出ないものの、実績は数字ベースで語られており、自身の役割・強みについても明確にお応えになっていたこともあり、「優秀な方だ!」と思うように至った。


実際のところ、複数の企業に面接に呼ばれ、結果的に上場企業やPre IPOフェーズの成長企業など複数の企業からオファーを獲得した中で、私がご紹介差し上げた某有名グローバルメーカーS社へ入社することを意思決定しようとしていた。

しかし、意思決定を模索する中で、交渉すべき大きな壁が生まれた。候補者が、通常のオファーレターに加え、各種インセンティブプラン、さらには様々な付属品を盛り込ませることを要望したのである。

具体的には、PC、iPadから始まり、空気清浄機から果てはウォーターサーバーまで、総額70万円を超える物品の数々だ。

しかし、候補者を高く評価し、非常に寛容な態度であるクライアントは、その多くを受け入れてくれたため、無事正式に入社することになった…


と安堵した矢先、Yさんは1ヶ月を経たずして、S社を退職することになった


理由は、経歴詐称による、実質的な解雇だ。

入社後、管理職待遇のYさんは人事権を有していたため、自身の知人であるスタッフ2名を連れてきたのだが、彼らがS社の社員に対して、どういうわけかYさんの経歴が詐称であることを伝えてしまったのだ。

その後、S社がYさんの経歴を調べたところ経歴のほぼ全てが嘘で、「そんな人は所属していなかった」との回答だったそうだ。身から出た錆とは、まさにこのことだ。もちろん、クライアントに推薦する前に、弊社でもYさんの氏名をGoogleなどで検索していたが、ありきたりな名前だったこともあり、有益な情報がヒットしなかった。


原則として、エージェントが候補者のバックグラウンドを候補者の許可なしに行うのは禁止されている。そのため、候補者の役に立ち少しでも可能性を拡げたいと思う一方で、「”本当に”この候補者をクライアントに推すことが出来るか?」とシビアに見る視点が必要だと、改めて実感した出来事だった(ここが、いわゆる登録型とサーチ型のエージェントの視点の違いでもあるが)

この出来事の教訓として、相対する人から何か怪しい気配を少しでも感じた場合は、その直感に従って一度立ち止まってみることにした次第である。