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タレントコミュニティ(Talent Community)とは何か?

皆さんは、タレントコミュニティ(Talent Community)という言葉を聞いたことがあるだろうか?

日本ではまだメジャーになっていない概念ではあるが、海外(特にアメリカ)では、今後のrecruiting solutionの中心的な概念として注目を集めて始めている。

そもそもタレントコミュニティとは、何を意図しているのか。wikipediaには、次のように記述されている。
talent community is a method of social recruiting, by relying on the collection of social cliques (or talent networks) of people that are part of the job seeking process.
(抄訳)
  タレントコミュニティとは、ソーシャルリクルーティングの手法の1つであり、それは求職過程の一部の人々の小集団(つまりタレントネットワーク)の集まりに依っている。


また、WikiのDescriptionには次のように記載されている。
A talent community is a network of candidates, employees, alumni, and our social and professional networks allowing productive two-way communication between all permitting and willing connections.[1] A community is engaged in collaborations and the sharing of information. It involves people conversing and working together to solve problems, meet goals, share opinions, and ideas.
(抄訳)
 タレントコミュニティとは、 キャンディデイト、従業員、会社の卒業生のネットワークであり、そして、すべての許可した関係と自発的な関係を繋ぐ、生産的で双方向のコミュニケーションを可能にするソーシャル・ネットワークおよびプロフェッショナル・ネットワークである。コミュニティは、コラボレーションと情報の共有に取り組んでいる。それは、問題を解決し、ゴールを目指し、意見そしてアイディアを共有するために、人々を対話させともに働くことを促す。


簡潔に言えば、タレントコミュニティとは、ソーシャルリクルーティングの手法の1つであり、自社と繋がりのある、あらゆるネットワークである。


それでは、なぜこの概念がHR(リクルーティング)業界で注目を集めているのであろうか?


お察しの通り、ソーシャルリクルーティングの台頭による、Job Boardの衰退という潮流が背景にある。

Job Boardとは、アメリカ最大級のMonster.com のように、求人情報をリストアップして
掲載しているWebサイトを指す。日本で言うリクナビと同じだが、5年前程からは、
有名ブログ・CGMに求人情報を載せ、より専門性の高いマッチングを図るサイトも増えている
Mashable Job BoardTechcrunchのJob Board 等)。


Job Boardは主に広告商品であるから、クライアント(採用企業)から月額課金で掲載料をもらう
パターンが一般的だ。おそらく、キャンディデイトによる認知度の多寡によって、掲載金額が変化しているのであろう。この辺りの話は、百式さんのブログに詳しい記載があります(やや古い情報だが)。

僕が考えるJob Boardの問題点としては、①ROIが不透明 ②Active Candidateにしかリーチできない という2つだ。①に関しては、もう広告を打ってみないと分からないという世界なので、採用に結びつかなくても原則として返金はできない点が問題だ。②については、大量にあるJob Boardの求人情報の中から自分に合致する情報を検索し、さらにレジュメデータを送り、面接に備えるという心理的ハードルがとてつもなく高く、故に転職意欲旺盛な人にしかリーチできないという点がある。

①を解消したのがジョブセンスやGreenのような、成功報酬型のJob Boardである。また、人材エージェントは基本的には成功報酬なので、①を解消したサービスだと言えるが、こちらはFeeが高すぎることが懸念され初めている(特に外資系企業からは)。

このような背景から、②を解消するサービスが期待される中で、FacebookやLinkedInといった
ソーシャルネットワーク(SNS)が生まれ、それを活用した採用すなわちソーシャルリクルーティングが生まれたのだ。


1つの興味深いデータがある。下記データは、LinkedInに登録しているフルタイムのプロフェッショナルワーカーの求職状況である。(詳細はこちら



この記事が言うには、大きく以下の3つの属性に分かれるそうだ。

 ・Active Candidate(Hunters、Networkers、Searchers)…17%
 ・中間層(Tiptoers=つま先立ちの状態)…15%
 ・Passive Candidate(Explorers、Super passive)…68%

  ※Explorerとは、リクルーターからコンタクトをもらって、今後のキャリアについて議論する程度な ら受け入れる層を指すらしい。

これらをさらに大雑把に20:20:60として捉えて、それぞれの属性に適したソーシングプラン(※リクルーター用語で、人材獲得手法を指す)を構築すべきだという主張をしている。


重要な点としては、68%のPassive Candidate(個人的にはTiptoersも含めて83%とした方が
分かりやすいと思っている)には、Job Boardへの案件掲載やコールドコール、またはメールの乱れ打ちは意味をなさず、ネットワーキングをベースにした、pre-qualified warm referrals(予め認めた暖かい照会?直訳すると意味不明。)の構築に投資すべきだ、という点だ。


そこで生まれた発想が、冒頭のタレントコミュニティの構築である。Passive Candidateは、現状のポジションにある程度満足していて今すぐに転職したいという訳ではないから、彼ら彼女らを繋ぎとめておいて、お互いのタイミングが合う時に「ぜひどうぞ」と言えるようにする仕組みが必要だ。それは、Facebookページであり、LinkedInの会社ページでもある。また、既存のSNSAPIを活用してソーシャルリクルーティングのサービス(≒タレントコミュニティ構築)を提供する企業も出てきている。


ソーシャルリクルーティングの手法が進展するにつれて、以前は一部のヘッドハンティング会社や人脈豊富なエージェントしかアプローチできなかった層に、採用企業およびリクルーターはコンタクトすることができるようになっている。タレントコミュニティを構築し、継続的に発展させていくことは当然難しいが、それを簡単にするツールの開発は、今後リクルーティング業界に求められるのだろう。