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事業開発とキャリア開発が大好きなベンチャー起業家のブログです。

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Beach Boysのキャリア論 〜親愛なるK先輩へ〜

ビーチボーイズというドラマをご存知だろうか。1997年に放送された、反町隆史と竹野内豊が主演の、言わずと知れた夏の月9の名作である。各界に多大な影響を与え、多くの信者が「広海」と「海都」の生き方に熱狂したが、何を隠そう、自分もその1人である。(以下、ネタバレあり)



    どのくらい影響を受けたかと言うと、12話まである同作をこれまでに4回程見ているので、自分の人生を丸2日間つぎ込んでいる位だ。それだけではなく、大学ではビーチボーイズを意識していた訳ではないものの、結果的にヨットを4年間続け、年間100日は海で過ごすことになった。さらに、新卒でNPOに就職するという謎の行動をとるに至る(しかもすぐ辞める…)。


最近、改めて12時間を投資して、ドラマをYoutubeで見たわけだが、見たくなったのには理由がある。自分が転職を支援させて頂いた「K先輩」と海都が重なったからだ。


海都は、元々エリート商社マンであったが、仕事のミスをきっかけに、休暇をとるため民宿「ダイヤモンドヘッド」で短い夏休みを過ごした。その後仕事に復帰して自身がリードするPJのコンペを獲得したものの、思うところがあり退職し、本格的な「夏休み」をダイヤモンドヘッドで過ごすことに決めた。


一方でK先輩は、大学卒業後、大手外資系コンサルファームに入社し、数年を経て、学生の頃からやりたかったブランディングのスペシャリストになるため、転職活動を開始した。紆余曲折はあったものの、結果的には僕のクライアントである某ブランドコンサルファームに転職された。未経験でありポテンシャル採用という側面も多分にあったため、年収は約半分になっての転職だった。

後から内情を把握したのだが、そのクライアントは強烈なトップダウンの組織で、社長が絶対的な存在であり、離職率も低くなかったようだ。もちろん、スキルや実績は国内外から高く評価されている実力者であることは確かだが、K先輩としても、トップからの強烈なプレッシャーに体調を崩し、精神的にも参ってしまい、近々退社されることが決まっている。その後は、すぐにどこかに転職するのではなく、しばらく地元に帰って、しっかりリフレッシュしてから東京に戻ると聞いている。


海都が退職するに至った心境を読み解くにあたって、『ハーバード流キャリアチェンジ術』の内容が示唆深い。同書では、「分析して計画を立てて行動しする従来の手法の限界を示し、”試し学ぶ”課程を繰り返すことによって、アイデンティティの修正を伴う本当に満足できるキャリアチェンジが達成される」という点を指摘している。海都は有給休暇を取得してダイヤモンドヘッドに「客」として生活し、そこで広海という自身とまったく違うタイプ・生き方をする男と出会う。その後、復帰して仕事で成功したにも関わらず、海都がなぜ退職してまでダイヤモンドヘッドに「夏休み」を過ごすことにしたのかは、彼自身もずっと説明できていなかったが、最終話で広海に次のように語っている。

俺が何でここに来たか分かる?俺はさ、アンタを見ていようと思ってここに来たんだよ。
アンタと出会ってさ、何があっても「いいじゃん夏なんだから」とか言って、「あーこういうヤツも世の中にいるんだなー」と思ってさ。 悔しかったんだよ、俺はすごい。アンタ見てて。アンタはさ、俺の知らない人生知ってるような気がしてさ。だから、俺もね、俺も経験してやろうと思ってさ。
正直言うと、すっごい怖かったよ、俺。だって全部ゼロになっちゃうんだからさ。
でも、今だから言えるんだけどさ、それはそれで良かったなと思っているよ。 
もう何があっても怖くないし。いつだってゼロからやり直せる自信はあるからさ、俺。


アイデンティティの修正とは、必ず葛藤が伴うものだ。自己のこれまでの価値観・生き方を変容させるものだからだ。日々の仕事の中で、気づかないけれどなんとなくモヤモヤしていた想いが、広海やダイヤモンドヘッドの人々と出会ったことで、色々な気づきを得て、少しずつ顕在化してきた。「アンタを見ていようと思った」のは、自分1人では抜け出せない迷路にいるなかで、広海を「明かり」のような存在だと感じたからではないだろうか。


K先輩、広海が「夏休みは、自分が終わりだと決めるまで終わらない」と言っていましたよ。今回の転職が、K先輩の人生にとってプラスだったのか、直接聞く勇気はまだありません。「夏休み」を使ってゆっくり振り返ってみて、この会社での経験がこれからのK先輩の人生にどう影響するのか、またいつか教えてください。

「優秀な営業マン」とは何か?について考えさせられた、スーツ屋での体験談。


先日、スーツ用のワイシャツが欲しくなり、たまたま近場のスーツ屋に足を運んだ時のことだ。

パステルピンクでちょっと高級っぽく見える物が欲しいと思っており、色や模様、値段を中心にシャツ売り場を2、3分程見ていた後、「このシャツにしよう」と思って少し離れた位置から僕を見ていた店員に声をかけた。

井口:「すみません…」
店員:「合いません。」
井口:「えっ?」
店員:「胴回りの幅と袖の長さが合いませんね。」

話によると、自分が手に取ったシャツが置いてある列の商品は、胴回りの幅が大きく作られているためサイズが全く合わないらしい。たしかに、僕は痩せ型であり、かつ首は細長く、さらに腕は非常に長い。かなり特殊な体型?であるため、なかなかサイズがぴったりの服がなく、袖に合わせると胴回りがぶかぶかになり、胴回りに合わせると今度は袖がかなり短くなってしまうのだ。これまで購入した多くの店では、強くそのことを指摘してくれる店員がいなく、結果的にサイズが合わないシャツを購入してしまっている(だいたい袖が短くなる)。

その後、この店員は比較的自分のサイズに近しいシャツを案内してくれたが、胴・袖がフィットしても今度は首回りが合わないということで、結局「うちにはお客さんのサイズに合うシャツはありませんね。他の店でも、オーダーメイドしないとないと思います。」という話になった。店に入ってから、わずか5分程度だ。

結局、その店員には(無駄な買い物を回避できたということに対する)お礼を伝えて何も購入しなかったのだが、その後、僕は大して必要のなかったネクタイをその店員から購入している。


前置きが長くなったが、優秀な営業マンとは、すなわち「信頼に値する営業マン」なのだと思う。そして、神田昌典先生も言うように、「お客が<営業マンを>を信頼できると思うのは、十中八九、断られたとき」なのである。

この店員は、見込み客に対する距離感、お客の時間・お金を無駄にしないための配慮、そして一瞬でお客のニーズにフィットする商品を提供できるかどうかを見抜く職人技、これらを備えていたのだと、僕は思う。某マ○イの店員とは大違いである! 

勝間和代さんの「断る技術」を連発すると痛い(イタい)目に合いそうだが笑、自分も、クライアントやキャンディデイトに「断る」ことを通じて信頼を得られればと思う。

【書評】『ITビジネスの原理』 ビジネスモデルの原理と今後のITビジネスの世界観が分かる良書

 
本書は、マッキンゼー→iモードの立ち上げ→リクルート→Google→楽天(11社目)と、ITビジネスに「プラットフォーマー」として長く携わられている尾原氏の処女作である。内容としては、とても示唆に富み、体感値としてモヤモヤしていたものが理屈として言語化されていて、腑に落ちたという表現がぴったりする本だ。 その中でも、本書は以下の3つの視点から描かれているように思う。

①そもそも、どうやってビジネスでお金を生みだすのか?(従来)
②ITビジネスがもたらした、お金の生み出し方の変化(現在) 
③ITを活用した、今後のお金の生み出し方の変化(将来=本書のいう「第二のカーブ」)


    
①そもそも、どうやってビジネスでお金を生みだすのか?(従来)

・「(その商品を)安いと感じているところから仕入れて、高く感じているところへ売る」 
・「売ろうとしている商品」「その商品の価値が最も低い場所(仕入れ地)」「商品の価値が最も高い場所(消費地)」の三つを結びつけるマッチングが、ビジネスのキーになるのです


いわゆるアービトラージ(裁定取引)というやつで、本書では大航海時代の香辛料貿易(ヨーロッパにはないコショウをインドまで取りに行って、それを金と交換して多額の利益を上げた取引)を例に挙げている。インドではそこらじゅうに生えているコショウが、ヨーロッパでは希少な物だという点がポイントだ。


  ②ITビジネスがもたらした、お金の生み出し方の変化(現在)

・インターネットの最大の特徴は、空間(距離)的、時間的な制約なしに世界中を結ぶ 
・「点在する情報を一か所に集める」という作業は、インターネットがひじょうに得意とするところ 
・インターネット以前のビジネスは「モノを安く仕入れて高く売る」ものでしたが、インターネットのビジネスというのは「ユーザを安く仕入れて高く売る」ものと言える 
・世界中に散在しているユーザを一か所に集めて、そのユーザを金を出しても欲しいと思っている企業や人を結びつける、マッチングするのが、インターネットのビジネス 
・1.ユーザーのインテンション(意図)を先鋭化させて正しく把握する 2.そしてそのインテンションに基づいて最適なものを提示する という二つの仕組みをきちんと回すことが、インターネットのビジネスでは重要なことなのです 
・ITやインターネットは仕事を細切れにすることで価値を生み出すだけではなく、その細切れを集めることによって新しい価値を生み出し、普段使われていない部分を有効活用することができる


①のアービトラージの変化球版が、ITビジネスで起こっていることを示している。例えば、太陽光パネルを自宅の屋根に付けたいというユーザの情報は、ほとんどの人にとって興味はないが、パネルの販売会社・施工会社には喉から手が出るほど欲しい情報だ。そのマッチングサービスが、弊社のグリーンエネルギーナビである。また、クラウドワークスのようなクラウドソーシングも、この変化球の最先端事例として取り上げられている。


  ③ITを活用した、今後のお金の生み出し方の変化(将来=本書のいう「第二のカーブ」)

・日本というハイコンテクストな国は、こうした言葉ではない部分を楽しむ、隙間を楽しめるという文化がある 
・モノを買うというのは、ただ品物を買っているだけではなくて、その商品にまつわる物語を買っていたり、売っている人との関係性を買っていたりする 
・インターネットというのは、ハイコンテクストなものとハイコンテクストなものをダイレクトに結びつけることができるものだ 
・ハイコンテクストなコミュニケーションを加速するのが、ウェアラブルであり、ギガビッド・インターネット 
・ITやインターネットはもともと、自己実現のためであり、みんなが幸せになるためのものだった


本書の後半では、ITが生み出すコミュニケーションの変化に多く言及している。それは、言語→非言語への変化であり、たとえば写真(Pintarest)やスタンプ(Line)やウェアラブル(Google Glass)である。こういった非言語メディアは、文字よりはるかに多くの情報を伝えることができる。ITがより豊かな人間関係の構築を促進させるということを示唆している。井口尊仁氏との10分対談の中で、「かつては、「お金儲け」と「人を幸せにする」は二項対立だった」が、その時代は終わっているという言葉が印象的だった。 You tubeにもITビジネスのキーパーソンとの対談が多くアップされているので、こちらも合わせて見てみたい。

高収益Webベンチャーのスーパーエンジニアに聞いた、良いリーダーの3つの条件

先日、高い技術力で有名な、某Web系ベンチャー企業で活躍中で、以前より懇意にさせてもらっているスーパーエンジニアと呑む機会があった。

その方は、現在はエンジニアとしてコードを書かれているが、それまでは実質的なCTOとして、サービス企画・開発・マネジメント全般に携わられていた経験を有している。

ざっくばらんに色々話したのだが、たまたま話の途中で、「良いリーダーとはどんな人か?」という話題になったのだが、とても興味深い内容だったので忘れないように書き残しておこうと思う。

彼曰く、優れたリーダーには3つのポイントがあると言う。

  1. ブレない軸を持つ
  2. 謙虚で勉強熱心
  3. 根っからの明るいタイプ



1に関して、変化の速いインターネット業界であるから、戦術の部分では朝令暮改あることも当然だ。ただ、そもそも何に向かっているのか、様々なオプションを検討する中で、何を意思決定の判断軸とするのかといった点ではブレてはいけない。チームメンバーが疲弊しフラストレーションが溜まり、信頼を失ってしまうからだ。

2については、事業責任者として、自分の専門外を事柄を理解するよう努めるということだ。
たとえば、技術を知らないリーダーも、エンジニアがどういった思想で何に取り組んでいるのか、少なくとも理解しようと心掛けることが重要だとのことだ。

3は、その人がいると場の雰囲気が明るくなり、その人の周りに人が集まり、メンバーをポジティブにさせるということだ。リーダーは、決して愚痴やネガティブな印象を見せてはいけない。


なお、僕は、UEIの清水社長がブログに述べられていた「優れたリーダーの条件は、結果を出すこと」ということに影響を受けていることを伝えたら、たしかにその通りだとの返事があり、そこからリーダーは先天的(資質)か、後天的(経験)という議論が始まったが、長くなってしまうので本エントリでは割愛したいと思う。

モバイルリクルーティングの時代

THE HISTORY OF MODERN RECRUITING
imomentou社
The History of Modern Recruiting

興味深いグラフを見つけたので共有。

左図のインフォグラフは、主にモバイル(というかスマートフォン)を活用したリクルーティングソリューションを提供するスタートアップである、iMomentous社によるものだ。

リクルーティング手法の時代の変遷が分かりやすく記されているが、特に興味深い点は、最下部の「The Mobile Era(モバイルの時代)」という箇所内の数字部分だ。

「求職者の間でモバイルが採用される速度は、雇用者側が提供するソリューションをはるかに超えていた。これは変化している。」とし、具体的には、以下のとおり。

・フォーチュン500社が採用ページを(モバイル)最適化する割合…13%
・モバイルからのジョブポータル(ジョブボード)サイトへのアクセス割合…20%
・モバイルからLinkedInへアクセスするユニークユーザーの割合…23%
・モバイルリクルーティングの年成長率…25%
・2017年までの世界中でのトラフィックの成長率…300%
・2912年Q4での、自然検索と直接訪問者の割合…20%


正社員転職市場の市場規模は、約1,900億円あると言われている。今後、いかにスマートフォンで使いやすい転職支援サービスを創るかが、シェア拡大において肝になることは確実だ。

某上場企業の人事責任者から教わったWeb業界ポジショニングマップが秀逸【転職活動に有効】

 

Web系企業 ポジショニングマップ

先日、極めて高い利益率を誇る某Web業界の巨人に訪問し、人事責任者の方からざっくばらんにお話を伺う機会があった。その際、弊社の優秀なコンサルタントからの「D社やK社といった技術力の高い企業との立ち位置の違いは?」という質問が引き金となり、左図のようなポジショニングマップを見せて頂いた。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(特に)何を重視するかという軸で、売上かユーザーか、また組織のカルチャーの軸としてロジカル系かパッション系か、という切り口で分けるというものだ。この図に企業を大まかにプロットしてみると、下記のようになる。
 
各セグメントの特徴として、
 
①売上重視・パッション系は、体育会系、和気藹々、営業会社的というイメージだ(あくまでイメージ)。
 
②売上重視・ロジカル系は、いかにユーザーに多く課金させるか、ガチャとか射幸心煽って良い作戦じゃないか?というイメージ。
 
③ユーザー重視・ロジカル系は、ユーザーの視点にたって、長く使ってもらえる良いサービスって何だろうか?ということを緻密に考えているイメージ。
 
 
④ユーザー重視・パッション系は、いかにユーザーに「面白!」って思ってもらえるか重視だ(イメージ)。
 
このポジショニングマップが秀逸だと思った点は、採用競合からの口説き方に使える点、および自社にフィットしそうなタイプの人材が見つけやすい点だ。
 
それぞれの軸(特徴)には、何らかのメリット・デメリットが内包されているはずだ。たとえば、売上重視の企業は、「ビジネスセンスを磨ける」「稼げる」というメリットもあれば、「本当に世の中(人)の役に立っているサービスを提供しているのだろうか?」というネガティブな見方もできる。
 
候補者を口説く際、そういったデメリットを逆手にとって、「うちはそうではないですよ」と伝えることでフックをかけることができる。
 
また、別の見方としては、対極にある象限(①・③および②・④)は、そもそもフィット感が低いと言える。実際、③にあるその巨人は、R社出身者とはまったく合わないらしい。
 
こういった地味だけど切れ味の良いマトリクスを思いついた人事責任者は、すごい人だと思った。
 

タレントコミュニティ(Talent Community)とは何か?

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皆さんは、タレントコミュニティ(Talent Community)という言葉を聞いたことがあるだろうか?

日本ではまだメジャーになっていない概念ではあるが、海外(特にアメリカ)では、今後のrecruiting solutionの中心的な概念として注目を集めて始めている。今回は、タレントコミュニティとは何かについて、共有したい。

タレントコミュニティとは?

そもそもタレントコミュニティとは、何を意図しているのか。wikipediaには、次のように記述されている。

talent community is a method of social recruiting, by relying on the collection of social cliques (or talent networks) of people that are part of the job seeking process.

(抄訳)
タレントコミュニティとは、ソーシャルリクルーティングの手法の1つであり、それは求職過程の一部の人々の小集団(つまりタレントネットワーク)の集まりに依っている。

 

また、WikiのDescriptionには次のように記載されている。

A talent community is a network of candidates, employees, alumni, and our social and professional networks allowing productive two-way communication between all permitting and willing connections.[1] A community is engaged in collaborations and the sharing of information. It involves people conversing and working together to solve problems, meet goals, share opinions, and ideas.

(抄訳)
 タレントコミュニティとは、 キャンディデイト、従業員、会社の卒業生のネットワークであり、そして、すべての許可した関係と自発的な関係を繋ぐ、生産的で双方向のコミュニケーションを可能にするソーシャル・ネットワークおよびプロフェッショナル・ネットワークである。コミュニティは、コラボレーションと情報の共有に取り組んでいる。それは、問題を解決し、ゴールを目指し、意見そしてアイディアを共有するために、人々を対話させともに働くことを促す。


簡潔に言えば、タレントコミュニティとは、ソーシャルリクルーティングの手法の1つであり、自社と繋がりのある、あらゆるネットワークである。

 

タレントコミュニティが登場した背景

それでは、なぜこの概念がHR(リクルーティング)業界で注目を集めているのであろうか?

お察しの通り、ソーシャルリクルーティングの台頭による、Job Boardの衰退という潮流が背景にある。

Job Boardとは、アメリカ最大のMonster.com のように、求人情報をリストアップして
掲載しているWebサイトを指す。

日本で言うリクナビと同じだが、5年前程からは、有名ブログ・CGMに求人情報を載せ、

より専門性の高いマッチングを図るサイトも増えてい
Mashable Job BoardTechcrunchのJob Board 等)。

Job Boardは主に広告商品であるから、クライアント(採用企業)から月額課金で掲載料をもらうパターンが一般的だ。おそらく、キャンディデイトによる認知度の多寡によって、掲載金額が変化しているのであろう。この辺りの話は、百式さんのブログに詳しい記載がある(やや古い情報だが)。

僕が考えるJob Boardの問題点としては、①ROIが不透明 ②Active Candidateにしかリーチできない という2つだ。

①に関しては、もう広告を打ってみないと分からないという世界なので、採用に結びつかなくても原則として返金はできない点が問題だ。

②については、大量にあるJob Boardの求人情報の中から自分に合致する情報を検索し、さらにレジュメデータを送り、面接に備えるという心理的ハードルがとてつもなく高く、故に転職意欲旺盛な人にしかリーチできないという点がある。

①を解消したのがジョブセンスやGreenのような、成功報酬型のJob Boardである。また、人材エージェントは基本的には成功報酬なので、①を解消したサービスだと言えるが、こちらはFeeが高すぎることが懸念され初めている(特に外資系企業からは)。

このような背景から、②を解消するサービスが期待される中で、FacebookやLinkedInといったソーシャルネットワーク(SNS)が生まれ、それを活用した採用すなわちソーシャルリクルーティングが生まれたのだ。


1つの興味深いデータがある。LinkedInに登録しているフルタイムのプロフェッショナルワーカーの求職状況である。大きく以下の3つの属性に分かれるそうだ。

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 ・Active Candidate(Hunters、Networkers、Searchers)…17%
 ・中間層(Tiptoers=つま先立ちの状態)…15%
 ・Passive Candidate(Explorers、Super passive)…68%

※Explorerとは、リクルーターからコンタクトをもらって、今後のキャリアについて議論する程度なら受け入れる層を指すらしい。

これらをさらに大雑把に20:20:60として捉えて、それぞれの属性に適したソーシングプラン(※リクルーター用語で、人材獲得手法を指す)を構築すべきだという主張をしている。


重要な点としては、68%のPassive Candidate(個人的にはTiptoersも含めて83%とした方が分かりやすいと思っている)には、Job Boardへの案件掲載やコールドコール、またはメールの乱れ打ちは意味をなさず、ネットワーキングをベースにした、pre-qualified warm referrals(予め認めた暖かい照会?直訳すると意味不明。)の構築に投資すべきだ、という点だ。


そこで生まれた発想が、冒頭のタレントコミュニティの構築である。

Passive Candidateは、現状のポジションにある程度満足していて今すぐに転職したいという訳ではないから、彼ら彼女らを繋ぎとめておいて、お互いのタイミングが合う時に「ぜひどうぞ」と言えるようにする仕組みが必要だ。

それは、Facebookページであり、LinkedInの会社ページでもある。また、既存のSNSのAPIを活用してソーシャルリクルーティングのサービス(≒タレントコミュニティ構築)を提供する企業も出てきている。

おわりに

ソーシャルリクルーティングの手法が進展するにつれて、以前は一部のヘッドハンティング会社や人脈豊富なエージェントしかアプローチできなかった層に、採用企業およびリクルーターはコンタクトすることができるようになっている。

タレントコミュニティを構築し、継続的に発展させていくことは当然難しいが、それを簡単にするツールの開発は、今後リクルーティング業界に求められるのだろう。

ピースしないことが、自己ブランディングの一歩だと思う

集団で写真を撮ると、奇妙な光景を目の当たりにすることがしばしばある。
Vサイン、通称ピースをしている人たちの集団だ。通常6〜7割程、多いときだと9割程いるのだ。

チャーチルが戦争に勝利したことをロンドン市民に伝えたVサイン(Victory)に、いつのまにか平和の象徴としての意味づけが成された。すでになんのこっちゃという感じだが、それだけなら100歩譲って良しとしよう。しかし、写真を撮るときに普遍的にピースをし続けるのはいかがなものか?みんながやっているからとりあえずピース、やることがないからピースという具合だ。ピースしないと楽しんでないと思われてしまう的な。

誤解を恐れずに言えば、写真撮影時に無意識にピースをするということは、思考することからの脱却、あるいは没個性化の前兆ではないかとすら僕は思っている。

まだ女性は良いだろう。ピースをアレンジして可愛らしい仕草にしているのだから。一方で、ピースをし続ける男性には、違和感を隠し得ない。個人的な感覚の問題かもしれないが、少なくとも自分との相性はあまり良くない。実際のところ、自分が長く付き合っている周りの男は、写真でピースすることはほとんどないと記憶している。

僕がピースを止めたのは、かれこれ10年程前になる。もちろん、ピースなしの写真がツラくないと言えば嘘になる。ただでさえ表情豊かでない自分だ。どんなポーズと取るべきか、逡巡することも1度や2度ではない。しかし、おおげさに言えば、自分架した制約を乗り越えた所に見えてくる世界もあるのではないだろうか?

ピースをしないことで、よりクリエイティブな社会が実現することを願ってやまない。

弊社登山メンバーと富士山山頂にて(2013年)

経歴詐称の転職候補者にご用心

今回は、過去にお会いした、まさかの経歴詐称の候補者について、可能な範囲でお話しようと思う(一部デフォルメしている)。


過去に、Yさん(30代男性)という候補者の方と、面談の機会があった。

Yさんの経歴はピカピカで、

・地方では有名な、偏差値の高い高校出身で、
・私立大学では1、2位を争う某有名大学を卒業し、
・ネット広告代理店A社→インターネット業界では最大手のB社に転職。
・Webプロデューサーとして活躍後、退職後は知人の会社を手伝い、現在に至る。

というキャリアの方だ。

話し方も極めて自然で、コミュニケーション力がある人だな、と思う一方で、レジュメについては、ある違和感があった。

それは、具体的な実績が曖昧なのだ。

「在籍していた企業の守秘義務契約の都合上、手掛けた案件の社名・サイト名はお伝えできない」とのことで、たしかにA社の守秘義務の厳しさは同社出身の別の候補者からも伺っていたので、「まぁそうですよねー」と会話し、その場はスルーしていた。

そして、具体的な社名・案件名は出ないものの、実績は数字ベースで語られており、自身の役割・強みについても明確にお応えになっていたこともあり、「優秀な方だ!」と思うように至った。


実際のところ、複数の企業に面接に呼ばれ、結果的に上場企業やPre IPOフェーズの成長企業など複数の企業からオファーを獲得した中で、私がご紹介差し上げた某有名グローバルメーカーS社へ入社することを意思決定しようとしていた。

しかし、意思決定を模索する中で、交渉すべき大きな壁が生まれた。候補者が、通常のオファーレターに加え、各種インセンティブプラン、さらには様々な付属品を盛り込ませることを要望したのである。

具体的には、PC、iPadから始まり、空気清浄機から果てはウォーターサーバーまで、総額70万円を超える物品の数々だ。

しかし、候補者を高く評価し、非常に寛容な態度であるクライアントは、その多くを受け入れてくれたため、無事正式に入社することになった…


と安堵した矢先、Yさんは1ヶ月を経たずして、S社を退職することになった


理由は、経歴詐称による、実質的な解雇だ。

入社後、管理職待遇のYさんは人事権を有していたため、自身の知人であるスタッフ2名を連れてきたのだが、彼らがS社の社員に対して、どういうわけかYさんの経歴が詐称であることを伝えてしまったのだ。

その後、S社がYさんの経歴を調べたところ経歴のほぼ全てが嘘で、「そんな人は所属していなかった」との回答だったそうだ。身から出た錆とは、まさにこのことだ。もちろん、クライアントに推薦する前に、弊社でもYさんの氏名をGoogleなどで検索していたが、ありきたりな名前だったこともあり、有益な情報がヒットしなかった。


原則として、エージェントが候補者のバックグラウンドを候補者の許可なしに行うのは禁止されている。そのため、候補者の役に立ち少しでも可能性を拡げたいと思う一方で、「”本当に”この候補者をクライアントに推すことが出来るか?」とシビアに見る視点が必要だと、改めて実感した出来事だった(ここが、いわゆる登録型とサーチ型のエージェントの視点の違いでもあるが)

この出来事の教訓として、相対する人から何か怪しい気配を少しでも感じた場合は、その直感に従って一度立ち止まってみることにした次第である。

『グロービス流 キャリアをつくる技術と戦略』書評

本書は、グロービス経営大学院の講師(研究科長・副研究科長)が、個人のキャリアを考えるにあたっての、考え方およびツールを紹介したものだ。考え方については、キャリア・アンカーやプランド・ハプンスタンス・セオリーなど、既存の有力な考え方の紹介がベースとなっており、 ツールについては、主にコンサルティングの手法(AsIS-T0Beのギャップ分析や)や、マーケティング(4P/3Cのフレームワークの個人への転用)を紹介し、 そのワークシートを載せている。本書では、「キャリア」とは、「人生そのもの」だと捉えている。つまり、職業人としての自分のみならず、プライベート、家族など、多様な役割の総体としての自身を、どう定義し、形成していくかがキャリア戦略であると言えよう。日常の多忙な仕事に流されていると、「転職で年収100万円アップ!」というWeb広告に目が留まることはあっても、立ち止まってじっくりと自身のキャリア戦略を考えることはおざなりになりがちだ。そういった状態が続くと、本書で指摘されている「ゆでガエル」の状態になりかねない。先日、某日系大手電機メーカーのS社の優秀な若手社員と面談する機会があったが、あれだけマイナス計上を叩き出しているにも関わらず、周りの多くの社員たちからは、ほとんど危機感が感じられないそうだ。「まさか自分が所属する会社が潰れることはないだろう」「仮に潰れたとしても転職すれば良い」と高を括っているのかもしれないが、転職市場では、あなたという個人が、何が出来て、何がしたいのか?が問われるのだ。これが一朝一夕でなんとかなるものではないことは、現在転職市場に多く見られる、日系大手電機メーカーでの早期退職プログラムを受け入れた方々(主に中高年の方)が証明している。会社にすがるだけで一生が安泰することが出来なくなった以上、本書は自らの人生の選択権を掴むためのキャリアを考える上で有益であろう。